変数分離の方法でLaplace方程式を解きます。電磁気学などでよく現れるあれです(あっちは3次元ですけど)。数学的に細かい話は気にしないことをあらかじめ断っておく。

解きたい問題

\(\mathbb{R}^2\)の領域\(\Omega\)\(\Omega=\{(x,y)\in\mathbb{R}^2: x^2+y^2\le 1\}\)と定めます。その境界を\(\partial\Omega=\Gamma\)とおくと\(\Gamma=\{(x,y)\in\mathbb{R}^2:x^2+y^2=1\}\)です。このような場合において、

\[ \begin{align} \Delta u(x,y)&=0&\quad(x,y)\in\Omega\\ u(x,y)&=f(x,y)&\quad(x,y)\in\Gamma \end{align}\]

を満たすような関数\(u(x,y)\)を求めます。ただし\(\Delta\)はラプラシアンです。

\[ \Delta u(x,y)=\frac{\partial^2 u(x,y)}{\partial x^2} +\frac{\partial^2 u(x,y)}{\partial y^2}\]

つまりは偏微分方程式の境界値問題です。この形の偏微分方程式のことをLaplace方程式といいます。ついでにこんな感じの境界値の与え方の境界値問題をDirichlet問題といいます。(ディリクレ問題)まとめると、これはLaplace方程式のDirichlet問題です。

2次元極座標変換

\(x=r\cos\theta\), \(y=r\sin\theta\)とおきます。いま、\(u(x,y)\)の関数形はわかっていないので\(x,y\)にこれらを代入したときにどんな(\(r\)\(\theta\)の)関数形になるかわかりません。従ってここではその関数形を

\[ U(r,\theta):=u(r\cos\theta,r\sin\theta)\]

とおいておきます。た・と・え・ば、\(u(x,y)=x^2-y^2\)だったらば

\[ U(r,\theta)=r^2\cos 2\theta\]

という形になります。まあこの辺はわかりますね。いきなり\(u(r,\theta)\)とかしないように。同じようにして境界値を表す\(f(x,y)\)についても\(F(r,\theta)\)と表せるとしておきます。ここで、境界条件は単位円周上でしか与えられていないので実際に使うのは\(F(1,\theta)\)のみです。これを再び\(F(\theta)\)とおきます。

次に\(u\)\(x,y\)についての偏微分方程式を\(U\)\(r,\theta\)についての偏微分方程式に変換します。結果を示すと次になります。

\[ \frac{\partial^2 U}{\partial r^2}+\frac1r \frac{\partial U}{\partial r}+\frac1{r^2} \frac{\partial^2 U}{\partial \theta^2}=0\]

なんでこんな形になるんでしょうねぇ。まあ代入するだけなんで暇だったら導出してみましょう。ていうか調べたら鬼のように出てくる。

変数分離の方法

いま\(U(r,\theta)=R(r)\Theta(\theta)\)と変数分離できると仮定します。なんでか知りませんが変数分離の方法では、まずこう仮定します。すると、偏微分は各々の部分の常微分になるので、

\[ R''(r)\Theta(\theta)+\frac1rR'(r)\Theta(\theta)+\frac1{r^2}R(r)\Theta''(\theta) =0\]

です。変形します。

\[ \frac{r^2R''(r)+rR'(r)}{R(r)}=-\frac{\Theta''(\theta)}{\Theta(\theta)}=:\lambda\]

両辺をまとめて\(\lambda\)とおきました。このようにすると偏微分方程式を常微分方程式の連立微分方程式に置き換えれらます。

\[ \begin{align} &r^2R''(R)+rR'(r)-\lambda R(r)=0\\ &\Theta''(\theta)+\lambda\Theta(\theta)=0 \end{align}\]

行けそうな気がしてきました。2行目は簡単です。1行目が難しい。簡単な方から、まず\(\Theta\)の一般解は単振動の式からすぐにわかって、

\[ \Theta(\theta)=A\cos \sqrt{\lambda} \theta+B\sin \sqrt{\lambda}\theta\]

さらに、\(\Theta\)は1周したら繋がっていてほしい(そういう問題とする)ので\(\Theta(0)=\Theta(2\pi)\)かつ\(\Theta'(0)=\Theta'(2\pi)\)とする。これをつかうと、\(\lambda=n^2\)がわかる。\(n\)は整数。この条件のもとで\(A,B\)はまだ自由なので結局\(\Theta\)は次のように書ける。

\[ \Theta(\theta)=A_n\cos n\theta+B_n\sin n\theta\]

これで2行目一旦終わり。次に1行目の\(R\)についての常微分方程式。これ、普通に解こうとしても結構練習してないと解けません。微分方程式の練習問題の中では割と定番なんですけど。

常微分方程式を解く

練習問題風に書き直します。やってる人なら必ず見たことあるはず。

\[ x^2y''+xy'-b y=0\]

です。\(x=e^t\)と変数変換すると、

\[ \begin{align} \frac{dy}{dx}&=\frac{dy}{dt}\frac{dt}{dx}=\frac{dy}{dt}\frac{1}{e^t}\\ \frac{d^2y}{dx^2}&=\frac{d}{dt}\left(\frac{dy}{dt}\frac{1}{e^t}\right) \frac{dt}{dx}\\ &=\left(\frac{d^2y}{dt^2}\frac{1}{e^t}- \frac{dy}{dt}\frac{1}{e^t}\right) \frac{1}{e^t} \end{align}\]

みたいな感じになります。代入すると、

\[ (e^t)^2\left(\frac{d^2y}{dt^2}\frac{1}{e^t}- \frac{dy}{dt}\frac{1}{e^t}\right) \frac{1}{e^t}+e^t\frac{dy}{dt}\frac{1}{e^t}-by=0\\ \frac{d^2y}{dt^2}-by=0\]

超絶キレイ。仕組んだみたい。これは定数係数2階線形微分方程式というやつ。これは練習してなくても解ける。

\[ y=Ce^{\sqrt{b}t}+De^{-\sqrt{b}t}\]

\(A,B\)としたいとこだが\(\Theta\)の方の解と被るので\(C,D\)を任意定数とした。\(x=e^t\)\(b=\lambda=n^2\)と戻していく。あと\(y\to R\)\(x\to r\)と形式的な書き換え。

\[ R(r)=Cr^n+Dr^{-n}\]

一旦書いておくか。いまこれ。

\[ U(r,\theta)=(A_n\cos n\theta+B_n\sin n\theta)(Cr^n+Dr^{-n})\]

決められるやつから定数\(A,B,C,D\)を決めていく。ひとまず\(r=0\)の挙動から\(D=0\)がわかります。\(\Omega\)上でくまなくラプラス方程式を満たしてほしいので。次に、この\(U\)がLaplace方程式の解ならこれを全ての\(n\)について足し合わせたものもLaplace方程式の解です。ゼロになるものをいくら足してもゼロなので。従って

\[ U(r,\theta)=\sum_{n=0}^nCr^n(A_n\cos n\theta+B_n\sin n\theta)\]

が今のところわかっている解です。ぱっと見なんでも表せてしまいそうで一意に定まりません。そこで境界条件\(U(1,\theta)=F(\theta)\)を入れます。

\[ U(1,\theta)=\sum_{n=0}^nC(A_n\cos n\theta+B_n\sin n\theta)=F(\theta)\]

これ、実はFourier級数展開の式そのものです。微妙に違うんですけどいい感じに\(n=0\)の場合とそれ以外の場合で場合分け、それに\(CA_n\)とかを別な新たな定数で置き換えると

\[ F(\theta)=\frac{a_0}2+\sum_{n=1}^\infty(a_n\cos n\theta+b_n\sin n\theta)\]

まあまんまですよ。これ。

得られるLaplace方程式の解

\[ U(r,\theta)=\frac{a_0}2+\sum_{n=1}^\infty r^n(a_n\cos n\theta+b_n\sin n\theta)\]

これはさっきの式に\(r^n\)が挟まっただけ。ここで、

\[ a_n=\frac{1}{\pi}\int_0^{2^\pi} F(\theta)\cos n\theta d\theta\quad(n=0,1,2,\dots)\\ b_n=\frac{1}{\pi}\int_0^{2^\pi} F(\theta)\sin n\theta d\theta\quad(n=1,2,\dots)\\\]

です。極座標の場合にしか解が求まっていないんですけど、これ以上は微分とかをともなわない単純な計算で求まるので話は簡単です。例えば\(r^2=x^2+y^2\)\(\tan\theta=y/x\)なんかをつかって戻していけばいい。無理な時もある。

n=0の微分方程式

途中

\[ \frac{d^2 y}{dt^2}-n^2y=0\]

という微分方程式を解きましたが、実はこれは\(n=0\)のときだけ別で解かないといけません。解くのは簡単で\(y''=0\)なので一般解は\(y=C+Dt\)です。\(x=e^t\)を戻すと\(y=C+D\log x\)ですね。同じく\(r=0\)の挙動から\(D=0\)なので\(r^n\)\(n=0\)のケースに一致します。

余談

極座標に飛ばすのはわかるとしてなんで変数分離できる仮定?

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