Borel-Cantelliの補題

/ Probability Math

主張

確率空間\((\Omega,A,\mathbb{P})\) 事象列\(A_1,A_2,\dots,A_n\subset A\) 事象列の上極限を

\[ \mathop{\rm lim sup}_{n\to\infty}A_n=\bigcap_{n=1}^\infty\bigcup_{k=n}^\infty A_k\]

と定義する。このとき、

\[ \sum_{n=1}^\infty \mathbb{P}[A_n]\lt\infty \Rightarrow \mathbb{P}[\mathop{\rm lim sup}_{n\to\infty}A_n]=0\]

が成立。以上が補題の主張。

具体例

\(\Omega=[0,1]\)とし\(A\)をボレル集合族\(A=\mathcal{B}([0,1])\)\(\mathbb{P}\)は可測空間\((\Omega,A)\)上のルベーグ測度(普通に長さ)とすると\(\mathbb{P}[\Omega]=1\)となっているので\((\Omega,A,\mathbb{P})\)は確率空間。

いま、事象列を\(A_n=(1/2^n,1]\subset A\)とする。このとき

\[ \sum_{n=1}^\infty \mathbb{P}[A_n]=\sum_{n=1}^n \frac1{2^n}=\frac{1}{1-1/2}=2\lt\infty\]

より\(\mathbb{P}[\mathop{\rm lim sup}_{n\to\infty} A_n]=0\)となる。0-1の数直線を書いてみよう。この場合の事象の上極限は\(\mathop{\rm lim sup}_{n\to\infty} A_n=\{1\}\)で要素が実数1だけの集合になってしまうことがわかる。こういう事象には確率ゼロを与えないと矛盾が生じるので補題より確かに確率ゼロ。数直線以外でも起きることは基本的に同じ。