問題
(1) 確率変数は独立に次のように定義される確率分布に従う。各は0または1を値にとり、とする(一般にとは独立ではない)。ただしは正の整数、は未知パラメータである。このとき以下の設問に答えなさい。
(1-1) 同時確率をの取りうるすべての値について求めなさい。ただしを用いること。
(1-2) をすべて用いて、の最尤推定量を求めなさい。
(1-3) 制約条件を仮定する。このときをすべて用いて、の最尤推定量を求めなさい。
(1-4) 設問(1-3)のは極限においてある値に収束する。その値を求めなさい。
(2) 袋の中に個のボールがあり、そのうち個は赤色、残りは白色である。袋から、ランダムかつ同時に個取り出した際にその中で赤色であるボールの個数を確率変数で表すことにする。以下の設問に答えよ。
(2-1) となる確率を求めよ。
(2-2) 確率変数の期待値を求めなさい。
袋の中に白いボールが多数入っている。その個数がわからないので未知パラメータとおき、これを以下の手続きで見積もることにした。まず、袋の中からランダムかつ同時に個を取り出し赤く塗った。それらを袋に戻してよくかきまぜた。その後、今度は袋の中からランダムかつ同時に個のボールを取り出したところ、そのうち個が赤く塗られていた。は正の整数である。以下の設問に答えよ。
(2-3) に関する尤度を求めなさい。
(2-4) 設問(2-3)のについて、、ただし、を計算しなさい。
(2-5) の最尤推定値を求めなさい。ただしとする。
解答
(1-1) が全ての取りうる値。
念のため全部足してになるかどうか確認しておくと
でok。
(1-2) 対数尤度をで微分してゼロとく。まずは対数を取る前の尤度を書き下すと
対数尤度はこれの対数を取ったもの。
キレイになったのかどうかはわからない。とりあえず項がひとつは消えた。まずで微分する。
次にで微分する。
どちらも似たような式が出てきた。1以下になることは式形から確かめられる。
(1-3) ラグランジュの未定乗数法を使う。を条件としてラグランジュ関数を次のように取る。
同じようにで微分してゼロとおけばよいのだが第1項は前の問題と同じである。
ここまでくればあとは方程式を解くだけの問題になる。でつないでを入れる。
これが条件のもとでの最尤推定量。
(1-4) 前問の式の分母分子をで割る。するとそれぞれの項は設問(1-1)で求めた確率に収束する。つまりにおいて
これを代入すると
となる。条件付きではあれど最尤推定量なのでこうなっていてくれると安心する。こういうことが起こる理由は抽象的なパラメータ空間の図を描くとわかりやすいんだろうけどいちいち説明しない。
(2-1) ランダムかつ同時に取り出すのだからの確率で赤を引くと考えればよい。通常の2項分布になる。(本当か?とかしなくていいんか?)
(2-2) 試行回数で確率の二項分布の期待値はと覚えて置く。これを用いるとの期待値はとなる。
(2-3) ここでの尤度の意味は結果がであったときにボールの総数がである確率のこと。前問のはここではと見ることが出来てこれをの関数と見なしたものが尤度関数そのもの。
(2-4) 先頭の二項係数は打ち消しあう。素朴に書き下すだけ。
(2-5) 普通に対数尤度を微分する。
これで最尤推定値はとわかった。でもがで割り切れるとは限らないので一般には有理数となる。なので自然数にするには切り上げるか切り下げるかしないといけない。多分にを代入して1より大きいかとか小さいかとかやるんでしょうが省略する。