とある数学の問題と解答のメモ031

2019-05-23 12:33

問題

(1) 次の行列\(A\)を考える。

\[ A=\begin{pmatrix}1&-1&1\\1&0&-1\\-1&0&3\end{pmatrix}\]

(1-1) \(A=PJP^{-1}\)となるような行列\(P\)行列\(J\)が存在する。このとき\(J\)とそのような\(P\)のひとつを求めよ。ただし\(J\)は次の形式の行列とする。

\[ J=\begin{pmatrix}a&0&0\\0&b&1\\0&0&b\end{pmatrix}\]

(1-2) \(J^7,A^7\)を求めよ。

(2) \(\mathbb{R}^3\)のベクトル空間について、部分空間\(S\)が次のように与えられている。

\[ S=\left\{\begin{pmatrix}x\\y\\z\end{pmatrix} | 2x=2y=-z\right\}\]

(2-1) \(S\)の基底を求めよ。さらに、\(S\)への射影行列\(Q\)を求めよ。

(2-2) \(S\)の直行補空間\(T\)の基底を求めよ。さらに、\(T\)への射影行列\(R\)を求めよ。

(2-3) \(Q\)の行列式、\(R\)の階数、\(Q^2\)、および\(QR\)を求めよ。

解答

計算過程が多め。

(1-1)
まず\(A\)の固有値を求めるために\(|\lambda I-A|=0\)を解く。

\[ |\lambda I-A|=\begin{vmatrix}\lambda-1&1&-1\\-1&\lambda&1\\1&0&\lambda-3\end{vmatrix}\\ =\lambda(\lambda-1)(\lambda-3)+1+\lambda+(\lambda-3)\\ =\lambda(\lambda-1)(\lambda-3)+2(\lambda-1)\\ =(\lambda-1)(\lambda^2-3\lambda+2)\\ =(\lambda-1)^2(\lambda-2)\]

より\(\lambda=1,2\)が固有値。従って\(a=2,b=1\)とわかる。次に\(P\)を求めるためにそれぞれの固有ベクトルを求める。まず\(\lambda=2\)のとき\((\lambda I-A)x=0\)を解くと、

\[ \begin{pmatrix}1&1&-1\\-1&2&1\\1&0&-1\end{pmatrix}\rightarrow \begin{pmatrix}1&1&-1\\0&1&0\\0&0&0\end{pmatrix}\]

となるので\(x=(1,0,1)^T\)が解の1つ。次に\(\lambda=1\)のとき\((\lambda I-A)x=0\)を解くと、

\[ \begin{pmatrix}0&1&-1\\-1&1&1\\1&0&-2\end{pmatrix}\rightarrow \begin{pmatrix}1&0&-2\\0&1&-1\\0&0&0\end{pmatrix}\]

となるので\(x=(2,1,1)^T\)が解の1つ。ここで\(\lambda=1\)に対する固有ベクトルが1つしか出てこなかったため、\(A\)は対角化不可能。ジョルダン標準形を求めるために\((\lambda I-A)y=-x\)を解く。

\[ \left(\begin{array}{ccc|c}0&1&-1&2\\-1&1&1&1\\1&0&-2&1\end{array}\right)\rightarrow \left(\begin{array}{ccc|c}1&0&-2&-1\\0&1&-1&-2\\0&0&0&0\end{array}\right)\]

より、解は一意に定まらないので簡単に\(y_3=0\)と置いて\(y=(-1,-2,0)^T\)を採用する。このようにして得たベクトルを次のように並べると\(A=PJP^{-1}\)でとなる。

\[ P=\begin{pmatrix}1&2&-1\\0&1&-2\\1&1&0\end{pmatrix}\]

(1-2)
\(J^7\)はジョルダン標準形なので簡単。

\[ J^7=\begin{pmatrix}128&0&0\\0&1&7\\0&0&1\end{pmatrix}\]

次に\(A^7=PJ^7P^{-1}\)から\(A^7\)を求める。単なる計算問題だがなかなかめんどくさい。

\[ A^7=\begin{pmatrix}-239&113&367\\7&-6&-7\\-247&120&375\end{pmatrix}\]

(2-1)
例えば\(z=c\)(任意定数)とおくと\(x=-2c,y=-2c\)がわかるので

\[ \begin{pmatrix}x\\y\\z\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}-2\\-2\\1\end{pmatrix}c\]

のようにあらわすことが出来て\(S\)\(u=(-2,-2,1)^T\)を基底とする1次元空間であることがわかる。射影行列はこの基底を正規化して\(uu^T\)を計算することで得られる。

\[ Q=\begin{pmatrix}-2/3\\-2/3\\1/3\end{pmatrix}\begin{pmatrix}-2/3&-2/3&1/3\end{pmatrix} =\begin{pmatrix}4/9&4/9&-2/9\\4/9&4/9&-2/9\\-2/9&-2/9&1/9\end{pmatrix}\]

(2-2)
直交補空間はもとの基底に直交する基底を持つ。従って\(-2x-2y+z=0\)を満たすような\((x,y,z)\)によって張られる空間である。例えば\(x=c_1,y=c_2\)(任意定数)とおくと\(z=2c_1+2c_2\)がわかり

\[ \begin{pmatrix}x\\y\\z\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}1\\0\\2\end{pmatrix}c_1 +\begin{pmatrix}0\\1\\2\end{pmatrix}c_2\]

と表すことが出来るので\(T\)\(v_1=(1,0,2)^T,v_2=(0,1,2)^T\)を基底とする2次元空間であることがわかる。射影行列はこの基底を正規化して\(v_1v_1^T+v_2v_2^T\)を計算することで得られる。

\[ R=\begin{pmatrix}1/\sqrt{5}\\0\\2/\sqrt{5}\end{pmatrix}\begin{pmatrix}1/\sqrt{5}&0&2/\sqrt{5}\end{pmatrix}\\ +\begin{pmatrix}0\\1/\sqrt{5}\\2/\sqrt{5}\end{pmatrix}\begin{pmatrix}0&1/\sqrt{5}&2/\sqrt{5}\end{pmatrix}\\ =\begin{pmatrix}1/5&0&2/5\\0&1/5&2/5\\2/5&2/5&8/5\end{pmatrix}\]

(2-3)
\(Q\)は1行目と2行目が定数倍になっているため\(|Q|=0\)。また\(\text{rank}R\)は、

\[ \begin{pmatrix}1&0&2\\0&1&2\\2&2&8\end{pmatrix}\rightarrow \begin{pmatrix}1&0&2\\0&1&2\\0&0&0\end{pmatrix}\]

より\(\text{rank}R=2\)。射影行列の性質より\(Q^2=Q\)、これは実際に計算しても分かる。また、同じく射影行列の性質から\(QR=O\)がわかる。逆にそうでなければ求めた\(Q,R\)が間違っているとわかるので計算してみても良い。