とある数学の問題と解答のメモ032

/ Math Exercise

問題

\(e\)をネイピア数(自然対数の底)とし,\(\exp(x)=e^x\)とする。

(1) 正整数\(N\)と実数\(\alpha\)を用いて,\(e=\alpha/N\)とする。

(1-1) 指数関数\(e^x\)のマクローリン展開を書け。

(1-2) 次の不等式が成り立つことを示せ。

\[ (N-1)!\alpha-\sum_{n=0}^N\frac{N!}{n!}<1\]

(1-3) 設問(1-2)の結果を用いて、実数\(\alpha\)が整数ではないことを示せ。

(2) 実数\(x\)の関数

\[ f(x)=\exp(-x-e^{-x}), x\in(-\infty,+\infty)\]

について、以下の設問に答えよ。

(2-1) 次式で定義される\(F(x)\)を計算せよ。

\[ F(x)=\int_{-\infty}^xf(t)dt\]

(2-2) 次の積分を計算せよ。

\[ \int_{-\infty}^\infty F(x)f(x)dx\]

(2-3) 実数\(a,b\)を正定数とする。次の積分を計算せよ。

\[ \int_{-\infty}^\infty F(x-b)f(x-a)dx\]

解答

(1-1) これは次の問題の誘導のための設問。

\[ e^x=1+x+\frac12 x^2+\frac1{3!}x^3+\dots=\sum_{n=0}^\infty\frac{x^2}{n!}\]

(1-2) 左辺を次のように変形できる。

\[ (N-1)!\alpha-\sum_{n=0}^N\frac{N!}{n!}= N!e-N!\sum_{n=0}^N\frac1{n!}\\ =N!\left(\sum_{n=0}^\infty\frac1{n!}-\sum_{n=0}^N\frac1{n!}\right) =N!\sum_{n=N+1}^\infty\frac1{n!}\\ =\frac1{(N+1)}+\frac1{(N+1)(N+2)}+\frac1{(N+1)(N+2)(N+3)}+\dots\\ <\frac1{(N+1)}+\frac1{(N+1)^2}+\frac1{(N+1)^3}+\dots\\ <\frac12+\frac1{2\cdot 2}+\frac1{2\cdot 2\cdot 2}+\dots\\ =\frac12\sum_{n=0}^\infty\left(\frac12\right)^n =\frac12\frac{1}{1-1/2}=1\]

以上により示せた。途中の不等式は、\(e=\alpha/N<\infty\)より\(N=1\)のとき与式が最大であることを用いた。

(1-3) 前問の式変形に注目すると

\[ (N-1)!\alpha-\sum_{n=0}^N\frac{N!}{n!}\\ =\frac1{(N+1)}+\frac1{(N+1)(N+2)}+\frac1{(N+1)(N+2)(N+3)}+\dots > 0\]

なので

\[ 0<(N-1)!\alpha-\sum_{n=0}^N\frac{N!}{n!}<1\]

がわかる。これよりこの式全体の値は整数ではありえない。また、\(A=(N-1)!\)は階乗なので整数である。 次に\(B=\sum_{n=0}^\infty (N!/n!)\)は分母が\(N!\)によって全て約分できることを考えると整数である。 式全体が整数ではないことがわかっており、整数\(A,B\)に対して\(A\alpha-B\)が整数ではないということは\(\alpha\)は整数ではない。以上より示された。

(2-1) \(u=-e^{-t}\)と変数変換する。このとき\(du=e^{-t}dt\)

\[ F(x)=\int_{-\infty}^xe^{-e^{-x}}e^{-x}dx=\int_{-\infty}^{-e^{-x}} e^udt\\ =\left[e^u\right]_{-\infty}^{-e^{-x}}=e^{-e^{-x}}\]

(2-2) \(F'(x)=f(x)\)を使って部分積分する。

\[ \begin{eqnarray} \int_{-\infty}^\infty F(x)f(x)dx&=& \int_{-\infty}^\infty F(x)F'(x)dx\\ &=&\left[F(x)^2\right]_{-\infty}^\infty-\int_{-\infty}^\infty f(x)F(x)dx\\ &=&1-\int_{-\infty}^\infty f(x)F(x)dx \end{eqnarray}\]

両辺に同じものが出てきたので左辺に移して2で割ると

\[ \int_{-\infty}^\infty F(x)f(x)dx=\frac12\]

(2-3) 同じように部分積分すると次を得る。

\[ \int_{-\infty}^\infty F(x-b)f(x-a)dx\\ =\left[F(x-b)F(x-a)\right]_{-\infty}^\infty-\int_{-\infty}^\infty f(x-b)F(x-a)dx\]

ここで、

\[ F(x-b)f(x-a)=f(x-b)F(x-a)=\exp(-x-e^{-x}(e^b+e^a))\]

が容易に確かめられるので同じように左辺に移して2で割ると

\[ \int_{-\infty}^\infty F(x-b)f(x-a)dx=\frac12\]

答え同じ、、違うかもしれない。合っているとしたら何が言いたいんだろうか。