とある数学の問題と解答のメモ724

/ Math Exercise

問題

(1) 確率変数Xが以下の確率密度関数をもつ確率分布に従うものとする。

f(x)={1παx12exα(x>0)0(x0)

ここで、α>0はパラメータである。

(1-1) 確率変数Xの期待値を求めよ。

(1-2) 確率変数Xの分散を求めよ。

(1-3) 上記の確率分布を母集団分布としてもつ母集団からn個の無作為標本X={X1,X2,,Xn}が得られたとする。パラメータαの、Xに基づく最尤推定量を求めよ。

(1-4) 設問(1-3)で求めた最尤推定量が、パラメータαの不偏推定量であるかどうかを理由と共に答えよ。

(2) 確率変数Xが標準正規分布に従うものとする。確率変数Y=eXの確率密度関数を求めよ。

(3) 区間(0,1)上の一様分布に従う確率変数Xを、ある関数fを用いて変数変換する。変換後の確率変数Y=f(X)が、確率密度関数

p(y)={λeλy(y>0)0(y0)

を持つように関数fを定めよ。ただしλ>0はパラメータである。

(4) 確率変数X,Yが次の確率密度関数をもつ同時分布に従うものとする。

p(x,y)={1π(x2+y21)0(x2+y2>1)

このとき、次の変数変換によって得られる確率変数Z,Wは互いに独立な標準正規分布に従うことを示せ。

解答

(1-1) 定義に従って積分を計算する。

E(X)=0xf(x)dx=0x1παx12exαdx=1πα0x12exαdx=1πα0x12(αexα)dx=1πα{[x12(αexα)]0+α20x12exαdx}=1πα(0+α2πα)=α2

最後はf(x)が確率密度関数であることから

1=0f(x)dx=1πα0x12exαdx0x12exαdx=πα

を用いた。

(1-2) V(X)=E(X2)E(X)2を使って計算する。

E(X2)=0x2f(x)dx=1πα0x32exαdx=1πα0x32(αexα)dx=1πα{[x32(αexα)]0+3α20x12exαdx}=1πα(0+3α2α2πα)=3α24 V(X)=3α24α24=α22

最後は前問の計算過程を用いた。

(1-3) 機械的に計算する。まず尤度関数L(α;X)は次のようになる。

L(α;X)=i=1n1παXi12exp(Xiα)

これより対数尤度が

l(α;X)=logL(α;X)=n2logπα12i=1nXi1αi=1nXi

となり、これをαで微分してゼロと置くことにより、

l(α;X)α=n2α+1α2i=1nXi=0 α^=2ni=1nXi

となる。

(1-4) E(α^)を調べると

E(α^)=2ni=1nE(Xi)=2ni=1nα2=2nnα2=α

よってE(α^)=αなので不偏推定量。

(2) 公式を使っても解けるがここでは直接的に求める。

pY(y)=ddyP(Yy)=ddyP(eXy)=ddyP(Xlogy)=ddylogy12πexp(x22)dx=12πyexp((logy)22)

同じようにやれば公式も導くことが出来る。

(3) これは逆関数法を知っていれば即座に累積分布関数の逆関数を取ればよいとわかる。念のため導出するなら、1つ前の問の真逆をやればよい。

pY(y)=ddyP(Yy)=ddyP(f(X)y)=ddyP(Xf1(y))=ddy0f1(y)dx=ddyf1(y)=λeλy (y>0)

となるようにf(x)を決めればよく、まずは両辺をyまで積分する。実際には右辺は(y0)で値ゼロを取るので0yの積分になり、

f1(y)=0yλeλtdt=[eλt]0y=1eλy f(x)=1λlog(1x)

がわかる。実際にはxが(0,1)一様分布に従うので1xxと書き換えても結果は同じである。

(4) X=RcosΘ,Y=RsinΘとして(X,Y)(R,Θ)(Z,W)の順に次の公式を用いて変数変換していく。

pR,Θ(r,θ)=pX,Y(x(r,θ),y(r,θ))|(X,Y)(R,Θ)|pZ,W(z,w)=pR,Θ(r(z,w),θ(z,w))|(R,Θ)(Z,W)|

ここで、

|(X,Y)(R,Θ)|=|det(XRXΘYRYΘ)|>0

はヤコビアンのこと。外側の縦棒は絶対値。まずは最初の変換のヤコビアン。これは極座標への変換でよく出てくるように

|cosΘRsinΘsinΘRcosΘ|=R

となり、これを問題で与えられたpX,Y(x,y)=p(x,y)の式に代入することで、

pR,Θ(r,θ)={rπ(r21)0(r2>1)

がわかる。次にこれを(Z,W)の分布に変換する。まず(Z,W)(R,Θ)の関係を求めるために普通に代入すると

Z=RcosΘ2log(R2)R2=cosΘ4logRW=RsinΘ2log(R2)R2=sinΘ4logR

これよりヤコビアンの逆数を求めると

|cosΘ2R4logRsinΘ4logRsinΘ2R4logRcosΘ4logR|=2Rcos2Θ+2Rsin2Θ=2R

次に、公式に当てはめるために(R,Θ)(Z,W)を用いて表す。

WZ=sinΘ4logRcosΘ4logR=tanΘ Θ=Tan1WZZ2+W2=4logR(cos2Θ+sin2Θ)=4logR R=exp(Z2+W24)

これで変換に必要なものは全てそろったので書き下すと

pZ,W(z,w)=pR,Θ(exp(z2+w24),Tan1WZ)r2={12πexp(z2+w22)(exp(z2+w22)1)0(exp(z2+w22)>1)=12πexp(z2+w22)=12πez2/2×12πew2/2

最後の場合分けは指数関数がz=w=0の時に最大値1なので外せる。その時の確率は

rπr2=12πr2=12πexp(z2+w242)

のように計算できる。一番最後はそれぞれの確率密度関数に変数分離出来ていてこれでZ,Wが独立に標準正規分布に従うことが示せた。